明治から大正時代の校舎形式を引き継いだ
東北日本海側の特徴ある木造校舎

沿革

旧鮎川小学校は、秋田県由利本荘市由利地区(旧由利町)に昭和29年(1954年)、旧鮎川中学校として新設された木造校舎です。
昭和45年(1970年)に同中学校が由利中学校に統合されたあと、鮎川小学校が移転し、平成16年(2004年)に同小学校が由利小学校に統合されるまで、50年間使用されました。

特徴

旧鮎川小学校校舎は、旧鮎川村が中学校校舎として昭和28年、29年の2年にわたって建設されました。総事業費29,959,494円は当時の村の2年分の総予算の74%にあたります。そのことからも校舎建設に向けた村民の期待と情熱を感じ取ることができます。しかも国庫補助はありませんでした。
校舎は東西方向に平行に伸びる教室棟三棟と屋内運動場で構成されています。
校長室のある中央校舎棟を中心として、両側に均等に校舎棟を配置した左右対称構造であり、妻部を特徴的にして高さを強調した屋内運動場を北側配置し、四棟すべての切妻を校庭側に向けるなど、全体の均衡を意識して設計されています。

明治末期から大正期の校舎の建築様式を引き継いだ昭和20年代の数少ない木造校舎であるとともに、建築当時の規模のまま、その大部分を今日まで維持してきた全国的にも希少な校舎であり、その規模は現存する木造校舎では秋田県最大級です。

また、秋田杉の木目を活かした床や壁、天井や建具など、和風を強調しながらもモダンにデザインした、建築当時の特徴が残されている調和の取れた美しい校舎です。